NHKBSプレミアムのドラマに『長閑の庭』(のどかのにわ)という4回シリーズのものがあって、見ています。

大学教授と大学院生との恋を描いたドラマで、その美しい日本語と音楽、台詞回しに見入っています。NHKでなければおそらくは作れないだろうと思うような丁寧な流れ、それぞれのキャストの魅力が閑かに存在しています。今どきのものではないけれど、逆にそこが私にとっては魅力で、録画しておいて時間が出来たらゆっくり見続けて来ました。

このドラマの舞台は大学のドイツ文学。時折出て来るドイツ語の響きがなんとも美しく、若いうちにドイツ語も勉強しておくべきだったなとつくづく思います。あるとき井上陽水さんがインタビューのなかで「ないんだな」と言っていたのを思い出します。なにが「ない」のかと言うと、時間とか方法とか自分がこれからあと50年も元気には生きていないなと言うことなど。つまり、若い頃にはなんでも出来てしまいそうに思うけれど実はそうではなくて、私がもし今からイタリア語フランス語スペイン語ポルトガル語ドイツ語を学んで話したいと思ってもそれはやっぱり今からではもう遅い、つまり(ものごとには限りがあるから時間が)「ない」という意味です。

流れがゆっくりな眺めを見ているとほっとします。それは閑かに静かに心のなかを流れていくもの。強烈なインパクトを残すものではないけれど、閑かな存在はしっかりと心に残るのです。だからこのドラマに出て来るドイツ語に惹かれるのかもしれません。

そんなことを考えている間にふと気になった主役の橋本愛さん、もちろん教授役の田中泯さんもすばらしいのですが、橋本愛さんはいつも見ている大河ドラマ『いだてん』の小梅役だったのだと気づいたのはごく最近のことです。小梅はほぼ毎週出て来ていて、私はずっと演じている彼女は安田成美さんなのだと思い込んでいたのでした。『長閑の庭』での朝比奈元子役と『いだてん』の小梅役を同時期に演じ分ける彼女は本当にすごい。NHKはその役者さんが気に入るとあちこちのドラマに同時に出演させるので観る側はだんだん混乱して来ます。

『長閑の庭』は間もなく最終回。

写真はゴッホが南仏 サンレミドプロヴァンスで療養生活をしていたところの中庭。

ONLINE STORE
LeJ Homepage