ロンドンの空はグレイ。鉛色。
パリの冬もグレイだけれど、ミルクを少し垂らせたようなやや明るいグレイで、もっと柔らかな感じがします。でも、ロンドンの深いグレイは陰鬱な感じではなく、重みや威厳や誇りを感じさせます。そのことは、英国がEU加盟国でありながらも自国の通貨をポンドのままにしているのは女王陛下が刷られた紙幣を愛しているからだとか、ただ先入観なく街を歩いているとよく分かるのでした。
ロンドンのことを書いていますけれど、写真は二枚ともイタリアに関したもの。一枚目はロンドン市内のナイツブリッジにあるフェラーリのショウルームで、二枚目はフィレンツェの中央市場で撮ったもの。
フェラーリはイタリアの車なので、鮮やかな色使いながらも、どこかにうっとりするような、とろけてしまいそうな艶やかさと柔らかさを感じさせます。これはラテンらしさなのかもしれないと思ったりします。シートの色見本として吊られているなめし革の、なんて美しいこと。それはロンドンの空に溶け込み映えているのでした。
色の話をし始めると終わりません。でも、これがきっと、私が度々ヨーロッパに行く目的です。